科学館は現在三重苦の状況におかれていると言われている。1.施設や展示物は昭和50年代をピークに設置されたものが多くこれらが現在かなり老朽化している。一方、厳しい財政状況の中で運営費や改修費も削減され、2.老朽化に対する改修・リニューアルの予算確保も困難となっている。また、3.科学館の機能を発揮するための人材の確保も十分でない。
その結果、科学館の集客力は低迷しており、科学館の存在意義が低下するとともに、入館料などの自己収入も減少するという悪循環に陥っている。こうした負の連鎖から脱却するためには、何らかの政策的な転換が求められるだろう。しかしどのような政策転換で、科学館の危機は解決するであろうか。
目次
- はじめに
- 第一部 科学館の歴史
- 第一章 科学館とは何か
- 一.社会教育の体系から見て
- 二.科学技術政策の体系から見て
- (一)科学技術政策(科学技術基本計画等)の体系
- (二)第五期基本計画への道
- 第二章 博物館の近代史
- (一)博物館関連施策の推移
- (二)所管官署から見た博物館
- (三)広義の博物館の分類
- (四)イノベーションから見た博物館
- 第三章 イノベーションと博物館(事例)
- 一.殖産博物館・殖産博覧会
- (一)殖産博物館の展開
- (二)殖産博覧会の展開
- (三)殖産に関する諸施策
- (四)まとめ
- 二.博物館の社会化
- (一)通俗教育と特別展覧会
- (二)災害防止(安全第一)
- (三)生活改善
- (四)まとめ
- 第二部 科学館の未来
- 第一章 科学館の問題
- (一)科学館アンケート調査の概要
- (二)具体的回答
- 第二章 イノベーション型科学館の可能性
- (一)8Kスーパーハイビジョンシステム(SHS)の提案
- (二)8Kスーパーハイビジョンシステムに関する専門家からの意見聴取
- (三)科学館への特別アンケート調査とその結果
- (四)まとめ
- 第三部 インタビュー(二〇一六年七月)
- 一.毛利衛日本科学未来館館長
- 「進化する科学館 先を見通す実験的な取り組みで課題解決へ」
- 二.藤澤秀一NHKエンジニアリングシステム理事長
- 「8K科学館の可能性」
- おわりに
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